理事長挨拶

 我が国から発信される医学研究は、国際的にも高く評価されています。このことは山中 伸弥教授、本庶 佑教授がノーベル賞の生理学医学賞を受賞されていることからもよく伺い知れます。これらの研究の質の高さは、研究者自身の能力、努力によるところが極めて大きいのは言うまでもありませんが、その方々を様々な分野の研究者が支えてきたことも大きいと思われます。基礎医学、臨床医学の発展には研究者の裾野を広くすることも重要で、特に若手研究者の育成がその中心的課題です。

 ところで、近年日本から発信される研究論文数を見ると、欧米や中国に比べ増加率が極めて低いことが指摘されています。さらにいわゆる一流誌への掲載論文数の低下が著しく、これも将来のことを考えると実に大きな問題と言えます。ノーベル賞受賞者は30〜40歳で対象となる研究論文を発表していることが多く、20、30代での研究がその元となっています。この世代の研究をどのようにサポートしていけば良いのか、これは国を挙げて対応せねばならないことですが、その中で私共に何かできることはないかと検討を重ね、本財団を立ち上げました。

 助成の目的は、第一に意欲ある若手研究者が海外で研究を志す時、その方々を少しでも支援することです。海外での研究を考えると、一年ではなく二年間を原則とする助成期間としました。第二に我が国で開かれる国際学会の補助です。諸外国のリーダーを招いて広く知識を交換し合うなど国際学会の意義は大きいのですが、近年資金面で年々開催が難しくなっています。財団として、その支援を考えております。

 本財団が国際的に活躍できる研究者の方々に少しでもお役に立てば望外の喜びです。研究者の皆さんの積極的な応募を心待ちにしています。

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公益財団法人国際医学研究振興財団
理事長 跡見 裕